明 細 書 神経幹細胞の増殖誘導方法 技術分野
本発明は、 多分化能を有する未分化な神経系の細胞である神経幹細胞 の増殖誘導方法や、 かかる増殖誘導方法により得られる神経幹細胞の利 用や、 神経幹細胞を増殖誘導するのに用いられる神経幹細胞の増殖誘導 セッ トゃ、 かかる神経幹細胞の増殖誘導セッ トの利用に関する。 背景技術
脊髄損傷の多くは外傷性で、 その原因は交通事故、 スポーツ事故、 労 働災害などであるが、 非外傷性のものとしては、 炎症、 出血、 腫瘍、 脊 椎変形などが原因となっている。 病態は、 脊髄実質に出血、 浮腫を基盤 とした脊髄の挫減と圧迫病変であり、 損傷部位に対応する神経障害が生 じる。 主な臨床症状として、 障害レベル以下に、 不全あるいは完全運動 及び知覚麻痺が出現し、 また、 頸髄損傷では、 特有な合併症として呼吸 麻痺と過高熱 (または過低熱) がみられる。 上記神経障害の改善、 特に 運動障害の改善は、 寝たきり老人増加の防止や Q〇L (Quality of Life) の向上に直結しており、 近年の平均寿命の延長とともにその重要性が高 まりつつある。
上記脊髄損傷の治療法として行なわれているのは、 物理的な圧迫や傷 害を除去するための外科的手術と、 受傷急性期の脊髄浮腫に対してのス テロイ ド療法である (N. Engl. J. Med. 322, 1405- 1411, 1990、 J. Neurosurg 93, 1-7, 2000)。 ステロイ ド剤の中ではメチルプレドニゾロ ンの大量投与が脊髄損傷に伴う神経症状の改善に有効であると報告され
ている (J. Spinal Disord. 5(1), 125-131, 1992)。 しかしながら、 ステロ ィド剤の大量投与は全身的副作用も強く発現し、 コントロールが難しい ことに加え、 感染症を伴う脊髄損傷では感染防御機能低下をきたすとい う問題点があり、 さらには現在ステロイ ド大量投与療法の有効性につい てさえ議論されている。 以上の様に現在まで、 脊髄損傷に対する有効な 治療薬はなく、 新しい治療薬の開発が切望されている。
上記以外の脊髄損傷の治療方法として報告されているものは、 インビ トロで炎症関連サイ トカインにより前処理された神経膠星状細胞を中枢 神経系 (C N S ) 中の損傷部位に、 治療上有効な量を移植する方法 (特 表 2 0 0 0— 5 0 3 9 8 3号公報) や、 同種の単核貪食細胞 (単球、 マ クロファ一ジ等) を、 損傷または疾患部位に、 あるいはその近傍の中枢 神経系 (C N S ) に投与することにより、 哺乳動物 C N Sにおける神経 軸索再生を促進する方法( Mol. Med. 77, 713-717, 1999、 J. Neurosci. 19(5), 1708- 16, 1999、 Neurosurgery 44(5), 1041-5, 1999 , Trends. Neurosci 22(7), 295-9, 1999、 特表平 1 1 — 1 3 3 7 0号公報など) で ある。 また、 明確な機序は不明であるが、 spinal cord homogenateによ る vaccinationゃ髄鞘蛋白質である myelin basic proteinに特異的な T 細胞を投与することにより、 脊髄損傷後の運動維持の回復を促進させた との報告もなされている (Neuron 24, 639-647, 1999、 Lancet 354, 286-287, 2000)。
近年欧米では、 中脳黒質のド一パミン作動性ニューロンが変性 ·脱落 するパーキンソン病に対して、 胎児の脳細胞移植による臨床試験が行わ れた (Piccini P., et al" Nat Neurosci., 2, 1999、 Freed C.R., et al., N. Engl. J. Med., 344, 2001)。 本治療法により、 6 0歳未満の患者の運動 能力が改善されることが明らかとなったが、 この移植治療を一人のパー キンソン病患者に対して行うためには、 5〜 1 0体もの中絶胎児が必要
とされる。
一方、 1 9 9 2年 Weiss らのグループによりニューロスフェア ( neurosphere) 法という神経幹細胞の選択的培養法が開発されたこと により、 神経幹細胞の研究は大きな展開を迎えた (Reynolds B.A, et al. J. Neurosci., 12, 1992)。 神経幹細胞を含む細胞群を、 分裂促進因子を 含む無血清培養液で培養するもので、 神経幹細胞のみが増殖して細胞塊 (ニューロスフェア) をなして浮遊する。 さらにこの生起したニューロ スフヱァを一つ一つの細胞に分離してまた上記の無血清培養液で培養す ると同様にニューロスフェアが形成される。 またこのニューロスフェア を上記の無血清培養液から分裂促進因子を除いて培養すると分化が誘導 され、 ニューロン、 ァストロサイ ト、 オリゴデンドロサイ トの 3種の細 胞ができることが知られている。
他方、 樹状細胞 (Dendritic Cell: D C ) は造血幹細胞由来の樹枝状 形態をとる細胞集団で、 生体内に広く分布している。未成熟樹状細胞は、 それぞれの組織に侵入したウィルスや細菌をはじめとする異物を認識し て取り込み、 リンパ系器官 T細胞領域への移動の過程で消化分解してぺ プチドを生成し、 M H C分子に結合させて細胞表面に提示することによ り抗原特異的な T細胞を活性化して免疫応答を誘導する抗原提示細胞と しての役割を担っている(Ann. Rev. Immunol. 9, 271-296, 1991 , J. Exp. Med. 185, 2133-2141, 1997)。
樹状細胞は、 その分布が広範であるものの各組織における密度が高く なかったために多数の細胞の調製は困難であった。 しかしながら、 未熟 な前駆細胞の培養に分化増殖因子を添加することによりインビトロで多 数の細胞が容易に調製可能になったことを受け、 免疫賦活化剤として樹 状細胞を利用することが検討され始めている (J. Exp. Med. 183, 7- 11, 1996)。 とりわけ、 微弱な腫瘍免疫応答に対して樹状細胞に抗原をパル
スすることにより特異的に免疫応答を増強しょうとするものである。 動 物実験では、 腫瘍由来のタンパク質や抗原べプチドを提示した樹状細胞 により特異的 C D 8 +細胞障害性 T細胞が誘導されることが示されてお り、 ヒトでも同様に腫瘍由来のタンパク質や抗原ペプチドを樹状細胞と ともに生体に戻すことにより腫瘍の減少あるいは消失が報告されている ( 神経幹細胞は、 分裂 ·増殖することができる自己複製能と同時に、 二 ユーロン、 ァストロサイ ト、 オリゴデンドロサイ トという中枢神経系を 構成する 3種類の細胞に分化する能力、 すなわち多分化能を有する未分 化な神経系の細胞である (Temple S., Nature, 414, 2001)。 近年極めて 再生能力が低い成人脳においても神経幹細胞が存在することが明らかに なり、 さらにヒト神経幹細胞の分離、 調製が可能になったことから、 現 在の再生医療研究において大変注目されている存在となっている。
最近、 試験管内で増やした神経幹細胞をドーパミン作動性ニューロン へと分化誘導する方法が開発された。 この方法により誘導された細胞を ドナ一細胞として移植することが可能になれば、 多くの中絶胎児を必要 とする現行の方法よりはるかに優れたパーキンソン病の治療法となるこ とが期待され、 またこのように今後、 幹細胞生物学を駆使し、 大量に調 製された細胞を移植する治療が、 さまざまな神経疾患に対して行われて いくと思われる。 本発明の課題は、 このような移植治療に最も重要であ る神経幹細胞をインビトロ等で効率良く増殖誘導する方法などを提供す ることにある。 発明の開示
成体の脊髄損傷では、 内在性神経幹細胞が脊髄内に存在しながらも、 ニューロン新生は抑制されており、 ァストロサイ トの増生のみが起きる ものと考えられている。単に神経幹細胞を損傷部位に導入したとしても、
ニューロンを作らずにグリアだけを作ってしまい、 病態の改善にはつな がらないことが予想される。 したがって、 神経幹細胞の移植に加えて、 ニューロンを作るための微少環境の整備が不可欠と考えられる。 一方、 生体防御機構の一つとして、 τ細胞を中心とする抗原特異的な免疫反応 が存在するが、 血液脳関門の存在、 M H C抗原の極めて低い発現、 リン パ組織の欠除などの理由から、 中枢神経系は免疫系から隔絶された特殊 な環境にある。 そこで本発明者らは、 免疫系が病変組織を排除して修復 するという考えに基づき、 損傷神経組織への免疫系の導入を試みた。 具 体的には、 免疫系を調節するために最も重要な細胞である樹状細胞、 ま た樹状細胞の誘導 ·増殖に重要なサイ トカインである顆粒球一マクロフ ァ一ジコロニー刺激因子 (G M— C S F ) を損傷神経組織に投与するこ とにより、 内在性の神経幹細胞が増殖誘導されることや、 また、 樹状細 胞との共培養によるィンビトロでの神経幹細胞の増殖誘導が生起するこ とを見い出し、 本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、 神経幹細胞を、 樹状細胞、 血球系細胞若しくはこ れら細胞の培養上清、又は顆粒球一マクロファージコロニー刺激因子(G M— C S F ) の少なくともいずれか一種と接触させることを特徴とする 神経幹細胞の増殖誘導方法 (請求項 1 ) や、 神経幹細胞を、 樹状細胞、 血球系細胞、顆粒球一マクロファ一ジコロニー剌激因子(G M— C S F ) の少なくともいずれか一種と培養培地中で接触させることを特徴とする 請求項 1記載の神経幹細胞の増殖誘導方法 (請求項 2 ) や、 神経幹細胞 を含む哺乳類神経組織を分離し、 成長因子を含む培養培地中で神経幹細 胞を選択的に培養し、 次いで神経幹細胞と樹状細胞及び Z又は血球系細 胞とを共培養することを特徴とする請求項 2記載の神経幹細胞の増殖誘 導方法 (請求項 3 ) や、 神経幹細胞を含む哺乳類神経組織を分離し、 成 長因子を含む培養培地中で神経幹細胞を選択的に培養し、 次いで樹状細
胞の培養上清及び Z又は血球系細胞の培養上清中で神経幹細胞を培養す ることを特徴とする請求項 2記載の神経幹細胞の増殖誘導方法 (請求項 4) や、 成長因子を含む培養培地が、 少なくとも E GF及び/又は F G Fを含む培養培地であることを特徴とする請求項 2〜 4のいずれか記載 の神経幹細胞の増殖誘導方法 (請求項 5) や、 樹状細胞が、 細胞表面に CD 1 1 cの表面マーカーを有する未成熟樹状細胞サブセッ ト、 又は該 未成熟樹状細胞に由来する成熟樹状細胞サブセッ トであることを特徴と する請求項 1〜 5のいずれか記載の神経幹細胞の増殖誘導方法 (請求項 6) や、 血球系細胞が、 脾細胞、 T細胞、 単球、 好中球、 好酸球又は好 塩基球であることを特徴とする請求項 1〜 6のいずれか記載の神経幹細 胞の増殖誘導方法 (請求項 7 ) に関する。
また本発明は、樹状細胞、血球系細胞若しくはこれら細胞の培養上清、 又は顆粒球一マクロファージコロニー刺激因子 (GM— C S F) の少な くともいずれか一種を備えていることを特徴とする神経幹細胞の増殖誘 導セッ ト (請求項 8) や、 さらに、 成長因子を含む培養培地を備えてい ることを特徴とする請求項 8記載の神経幹細胞の増殖誘導セッ ト (請求 項 9) や、 成長因子を含む培養培地が、 少なくとも E GF及び Z又は F G Fを含む培養培地であることを特徴とする請求項 9記載の神経幹細胞 の増殖誘導セット (請求項 1 0) や、 樹状細胞が、 細胞表面に CD 1 1 cの表面マーカ一を有する未成熟樹状細胞サブセット、 又は該未成熟榭 状細胞に由来する成熟樹状細胞サブセッ トであることを特徴とする請求 項 8〜 1 0のいずれか記載の神経幹細胞の増殖誘導セッ卜(請求項 1 1 ) や、 血球系細胞が、 脾細胞、 T細胞、 単球、 好中球、 好酸球又は好塩基 球であることを特徴とする請求項 8〜 1 1のいずれか記載の神経幹細胞 の増殖誘導セッ ト (請求項 1 2) に関する。
さらに本発明は、 請求項 1〜 7のいずれか記載の増殖誘導方法により
得られる神経幹細胞を有効成分とすることを特徴とする神経損傷又は神 経機能不全疾患の治療薬 (請求項 1 3) や、 請求項 8〜 1 2のいずれか 記載の神経幹細胞の増殖誘導セッ トを有効成分とすることを特徴とする 神経損傷又は神経機能不全疾患の治療薬 (請求項 1 4) や、 顆粒球一マ クロファ一ジコロニー刺激因子 (GM— C S F) を有効成分とすること を特徴とする脳梗塞の治療薬 (請求項 1 5) や、 請求項 1〜 7のいずれ か記載の増殖誘導方法により得られる神経幹細胞を投与することを特徴 とする神経損傷又は神経機能不全疾患の治療方法 (請求項 1 6) や、 請 求項 8〜 1 2のいずれか記載の神経幹細胞の増殖誘導セッ トを投与する ことを特徴とする神経損傷又は神経機能不全疾患の治療方法 (請求項 1 7 ) や、 顆粒球一マクロファージコロニ一刺激因子 (GM— C S F) を 投与することを特徴とする脳梗塞の治療方法 (請求項 1 8) に関する。 図面の簡単な説明
第 1図は、 樹状細胞移植後の Mu s a s h i - 1陽性細胞数の計測の ための領域設定を示す図である。
第 2図は、 樹状細胞 (D C)、 R PM I 1 640 (RPM I ) 移植群そ れぞれにおける、 抗 Mu s a s h i - 1钪体を用いた免疫染色の結果、 特に損傷辺縁部から頭側にかけての経時的な代表的切片を示す図である。 第 3図は、 樹状細胞、 R P M I 1 6 4 0移植群それぞれにおける、 M u s a s h i - 1陽性細胞数の領域別の経時的変化を示す図である。 第 4図は、 樹状細胞移植による神経細胞の解析結果を示す図である。
A :損傷後 1 4日目の樹状細胞移植群における抗 Hu抗体、 抗 B r d U 抗体を用いた免疫染色の結果 (代表的切片) を示す図である。
B : A図内の四角で示した部分の拡大像であり、 免疫染色の結果を抗体 別に示す図である。
C : B図で示した細胞における、 連続的な細胞断面像を示す図である。 D :樹状細胞、 コントロ一ルである R P M 1 1 6 4 0移植群それぞれに おける H u陽性かつ B r d U陽性の細胞数の経時的変化を示す図である' E :損傷後 1 4日目の樹状細胞移植群における抗 H u抗体、 抗 B r d U 抗体を用いた免疫染色に T U N E L染色を重ねて行った結果 (代表的染 色例) を示す図である。
第 5図は、 切断した神経軸索に対する樹状細胞移植効果の結果を示す 図である。
A :損傷後 4ヶ月の樹状細胞移植群における、 順行性トレーサー B D A 陽性の皮質脊髄路を示す代表的切片である。 図中の Gは損傷部位に挿入 した g e 1 f o r mを示す。
B :損傷後 4ヶ月のコントロールである R P M I 1 6 4 0移植群におけ る中心管周辺の B D A陽性の神経軸索を示す代表的切片である。
C :損傷後 4ヶ月の樹状細胞移植群における中心管周辺の B D A陽性の 神経軸索を示す代表的切片である。
D : C図内の四角で示した部分の拡大像を示す図である。
E : D図内の四角で示した部分の拡大像を示す図である。
第 6図は、 樹状細胞との共培養により形成されたニューロスフェアの 数を示す図である。 それぞれ解析した 4 wellの平均値を示した。
第 7図は、 樹状細胞との共培養により形成されたニューロスフェアの 体積を示す図である。 それぞれ解析した 4 wellの平均値を示した。
第 8図は、 樹状細胞、 脾細胞、 T細胞、 マクロファージの各免疫細胞 1 0 5個 ( 1 0 6個 Z m 1 ) を、 primary ニューロスフィァを形成した神 経幹細胞 1 0 0個と 7 日間共培養した場合の、 secondary ニューロスフ ィァ (直径 1 0 0 m以上) 形成数を示す図である。
第 9図は、 樹状細胞、 脾細胞、 T細胞の培養上清を用いた培養により
形成されたニューロスフェアの数を示す図である。 解析した 4 wellの平 均値を示した。
第 1 0図は、 樹状細胞、 脾細胞、 T細胞の培養上清を用いた培養によ り形成されたニューロスフェアの体積を示す図である。 形成されたニュ 一口スフエアの平均値を示した。
第 1 1図は、 樹状細胞 1 05個の培養上清 ( 1 06個 Zm 1 ) を用いて、 primary ニューロスフィァを形成した神経幹細胞 1 0 0個を 7 日間培養 した場合の、 secondary ニューロスフィァ (直径 5 0 μΠΐ以上) 形成数を 示す図である。
第 1 2図は、 GM— C S F投与後の Mu s a s h i — 1陽性細胞数の 計測のための領域設定を示す図である。
第 1 3図は、 GM— C S F投与後の Mu s a s h i - 1陽性細胞数の 経時的変化を示す図である。
第 1 4図は、 脊髄損傷後 7 日目の内在性神経幹細胞 Z前駆細胞を解析 した図である。
a : Mu s a s h i — 1抗体、 B r d U抗体、 G F A P抗体の 3重染色 による代表的切片の染色像を示す図である。
b : それぞれの坊体による解析像を示す図である。
c : Mu s a s h i - 1 (+ ) B r dU ( + ) GFAP (—) である内 在性神経幹細胞 Z前駆細胞の定量的計測結果を示す図である。
第 1 5図は、 脊髄損傷後 7 日目の CD 1 1 c陽性樹状細胞を解析した 図である。
a :損傷部位への GM— C S F投与により、 樹状細胞数が増加すること を示す図である。
b :損傷脊髄には CD 1 1 c陽性の樹状細胞が認められることを示す図 である。
c :正常マウス脊髄には明らかな CD 1 1 c陽性の樹状細胞が検出され なかったことを示す図である。
d : GM- C S F投与により有意に CD 1 1 c陽性の樹状細胞数が増加 することを示す図である。
第 1 6図は、 GM— C S F投与による神経細胞の解析結果を示す図で ある。
a :損傷後 1 4日目における抗 Hu抗体 (緑)、 抗 B r d U抗体 (赤) を 用いた新生された神経細胞を解析した代表的切片を示す図である。
b :損傷後 1 4日目における H u陽性かつ B r d U陽性の新生された神 経細胞数を示す図である。
第 1 7図は、 脳梗塞 (MCAO) 4 8時間後の代表的な TT C染色像 を示す図である。
第 1 8図は、 GM— C S Fを脳梗塞直後に血管内投与することにより、 総脳梗塞体積が減少することを示す図である。
第 1 9図は、 GM— C S Fを脳梗塞直後に血管内投与することにより、 大脳皮質(cortex)における脳梗塞体積が減少することを示す図である。 第 2 0図は、 脳梗塞直後と 48時間後における GM_ C S F投与およ びコントロール群の神経学的所見を示す図である。
第 2 1図は、 脳梗塞 (MCAO) 4 8時間後に脳切片を作製し、 TU NE L染色により脳梗塞境界領域(penumbra)におけるアポト一シスを解 祈した結果を示す図である。
第 2 2図は、 脳梗塞 (MCAO) 4 8時間後に脳切片を作製し、 〇X 4 2抗体を用いたより脳梗塞境界領域(penumbra)における活性化マイク ログリァの解析結果を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
本発明の神経幹細胞の増殖誘導方法としては、 神経幹細胞を、 樹状細 胞、 血球系細胞若しくはこれら細胞の培養上清、 又は顆粒球—マクロフ ァ一ジコロニー刺激因子 (GM— C S F) の少なくともいずれかと接触 させる方法であれば、 インビトロ、 インビポ、 ェクスビポを問わず、 特 に制限されるものではないが、 大量に調製された神経幹細胞を必要とす る移植治療を考慮すると、 神経幹細胞を樹状細胞、 血球系細胞、 GM— C S Fから選ばれる少なくともいずれか一種と、 DMEMZF 1 2培地 等の培養培地中で接触させ、 神経幹細胞の増殖を誘導する方法が好まし い。 具体的には、 分裂 ·増殖することができる自己複製能と同時に、 二 ュ一ロン、 ァストロサイ ト、 オリゴデンドロサイ トという中枢神経系を 構成する 3種類の細胞に分化する多分化能を有する神経幹細胞を含む哺 乳類神経組織、 例えば胎仔の被殻一線条体部位等を分離 ·採取し、 成長 因子を含む培養培地中で神経幹細胞を選択的に培養し、 必要に応じて神 経幹細胞の純度を高める処理を施した後、 かかる神経幹細胞と樹状細胞 及び Z又は血球系細胞とを培養培地中で共培養することにより接触させ る神経幹細胞を増殖誘導する方法を挙げることができる。 また、 上記樹 状細胞及び/又は血球系細胞との共培養の有無にかかわらず、 GM— C S Fの存在下で神経幹細胞を培養することにより接触させ、 神経幹細胞 を増殖誘導する方法も挙げることができる。 さらに、 上記と同様に、 神 経幹細胞を含む哺乳類神経組織を分離し、 成長因子を含む培養培地中で 神経幹細胞を選択的に培養し、 次いで榭状細胞の培養上清及び/又は血 球系細胞の培養上清中で神経幹細胞を培養することにより接触させ、 神 経幹細胞を増殖誘導する方法も好適に例示することができる。
上記成長因子としては、 上皮増殖因子 (E GF)、 酸性の繊維芽細胞成 長因子 (a F GF又は F GF— 1 )、 塩基性の繊維芽細胞成長因子 (b F GF又は F GF— 2)、 トランスフォ一ミング成長因子 a (TG F a)、
アンフィレダリン、 ベタセルリン (B T C)、 ェピレギュリン (E R)、 へパリン結合 E G F様増殖因子(HB— E G F)、神経線維腫由来増殖因 子 (S D GF) 等を例示することができ、 中でも E G Fや F G Fを好適 に例示することができる。 また、 上記成長因子を含む培養培地には、 E G Fや F G F等の成長因子の他に、 トランスフェリン、 インシュリン (Insulin), レチノイン酸、 ァクチビン、 イン夕一ロイキン等の、 細胞 の培養に通常使用される成分を添加しておくこともできる。
上記樹状細胞としては、 細胞表面に CD 1 1 cの表面マーカーを有す る未成熟樹状細胞サブセッ ト、 又は該未成熟樹状細胞に由来する成熟樹 状細胞サブセッ トを好適に例示することができ、 かかる樹状細胞サブセ ッ トには、 インビポでの神経再生効果やマイクログリアの増殖、 食作用 の増強を誘導する神経栄養因子 NT— 3を分泌する樹状細胞サブセッ ト や、 NT— 3に加えて、 脊髄運動知覚両神経に対し変性 ·細胞死保護の 効果が示す CNTF (神経栄養因子)、 マイクログリアやマクロファ一ジ 由来の細胞障害性物質の放出の抑制作用を有する TGF— ] 3 1、 各種二 ュ一ロン (コリン ' カテコールアミン ' ド一パミン作動性) に対する保 護効果を誘導する I L一 6を発現する未成熟榭状細胞サブセットゃ、 N T一 3に加えて、 CNTF、 TGF— i3 1、 I L— 6、 神経保護効果の 認められている E G Fを発現する成熟樹状細胞サブセットが含まれる。 また、 上記成熟樹状細胞サブセッ トとして、 L P S、 I L一 1、 TNF 一 α、 CD 40 L等の未成熟榭状細胞を成熟させるための刺激剤の存在 下で、 未成熟樹状細胞サブセッ トをインビトロで培養することにより得 られる成熟樹状細胞サブセットを用いることもできる。
細胞表面に CD 1 1 cの表面マーカーを有する未成熟樹状細胞サブセ ッ トは、 例えば、 末梢血等に対し密度遠心分離処理等の前処理を行った 後、 榭状細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体を用いて F AC Sで
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ソートする方法や、 樹状細胞表面抗原に対する磁気ビーズ結合モノク口 ーナル抗体を用いる分離方法等により樹状細胞サブセッ トを分離し、 そ れらの中から C D 1 1 c陽性の榭状細胞サブセッ トを選択することによ り得ることができる。 そして、 神経幹細胞と接触させる樹状細胞は、 該 神経幹細胞と同種のものが好ましく、 また、 神経幹細胞と接触させる樹 状細胞数は、 細胞数比において神経幹細胞の 1 0 3以上が、 神経幹細胞 の顕著な増殖誘導の点で好ましい。
上記血球系細胞としては、 脾細胞、 T細胞、 単球、 好中球、 好酸球、 好塩基球等を具体的に例示することができるが、 T細胞、 特に C D 8陽 性 T細胞ゃ脾細胞を好適に例示することができる。
次に、 本発明の神経幹細胞の増殖誘導セッ トとしては、 榭状細胞、 血 球系細胞若しくはこれら細胞の培養上清、 又は G M— C S Fの少なくと もいずれか一種を備えている細胞増殖誘導セッ トであれば特に制限され るものではないが、 上記 E G F、 F G F等の成長因子などの各種成分を さらに含む培養培地を備えているものが好ましい。 また、 上記樹状細胞 としては、 細胞表面に C D 1 1 cの表面マーカ一を有する未成熟樹状細 胞サブセッ ト、 あるいは該未成熟榭状細胞に由来する成熟樹状細胞サブ セットが好ましく、 血球系細胞としては、 脾細胞、 T細胞、 単球、 好中 球、 好酸球又は好塩基球が好ましい。
本発明の神経幹細胞の増殖誘導方法をィンビトロ又はェクスビポで実 施し、 得られた神経幹細胞を用いたり、 あるいは本発明の神経幹細胞の 増殖誘導方法をインビポで実施することにより、 パーキンソン病、 アル ッハイマー病、 ハンチントン病等の変性性疾患や、 中枢神経系に対する 外傷性及び神経毒性損傷や、 虚血神経系への血流又は酸素供給阻害に起 因する脳梗塞等の疾病などの治療が可能になる。 従って、 本発明の増殖 誘導方法により得られる神経幹細胞や神経幹細胞の増殖誘導セットは、
03 03868 上記神経損傷又は神経機能不全疾患治療薬として有用である。 また、 本 発明の増殖誘導方法により得られる神経幹細胞や本発明の神経幹細胞の 増殖誘導セッ トを投与すると、 上記神経損傷又は神経機能不全疾患の治 療が可能となる。 例えば、 G M— C S Fは脊髄損傷の治療薬としてまた 脳梗塞の治療薬として有用であり、 G M— C S Fの局所投与あるいは全 身投与により、 脊髄損傷や脳梗塞の治療が可能となる。
上記神経幹細胞の増殖誘導セッ トを神経損傷又は神経機能不全疾患治 療薬として用いる場合は、 薬学的に許容される通常の担体、 結合剤、 安 定化剤、 賦形剤、 希釈剤、 p H緩衝剤、 崩壊剤、 可溶化剤、 溶解補助剤、 等張剤などの各種調剤用配合成分を添加することができる。 またかかる 治療剤は、 経口的又は非経口的に投与することができる。 すなわち通常 用いられる投与形態、 例えば粉末、 顆粒、 カプセル剤、 シロップ剤、 懸 濁液等の剤型で経口的に投与することができ、 あるいは、 例えば溶液、 乳剤、 懸濁液等の剤型にしたものを注射の型で非経口に局所に投与する ことができる他、 スプレー剤の型で鼻孔内投与することもできる。 以下、 実施例により本発明をより具体的に説明するが、 本発明の技術 的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
以下に、 実施例を挙げてこの発明を更に具体的に説明するが、 この発 明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例 1 (樹状細胞の分離)
免疫磁気ビーズ法にて、 生後 6週齢の B A L B Z cあるいは C 5 7 B L Z 6雌成熟マウス脾臓より、 C D 1 1 c陽性のサブセッ トを分離し、 未成熟樹状細胞を得た。 具体的には、 まず脾臓を 1 0 0 U / m 1 コラー ケナ一ゼ (Worthington Biochemical Corporation社) にてホモンエイ、 ートした後、 分離しにくい被膜部分をさらに 4 0 0 U /m 1 コラーゲナ
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ーゼにて 3 7 °C、 5 % C O 2下に 2 0分間インキュベートし、 細胞を分 離した。 得られた細胞を 3 5 % B S A溶液中に浮遊させて、 遠心管中で さらに R P M I 1 64 0 + 1 0 %胎仔血清を重層させた後、 4 °C、 3 0 0 0 r pm、 3 0分間遠心し、 3 5 % B S A溶液と R P M I 1 6 40 + 1 0 %胎仔血清溶液との境界層の細胞を回収した。 次に得られた細胞に 対して、 C D 1 1 c抗原に対する磁気ビーズ結合モノクローナル抗体( 2 X I 08ビーズ、 MiltenyiBiotec 社) を 4°Cにて、 1 5分間反応させ、 ビーズ結合細胞を磁気により分離することにより、 未成熟榭状細胞サブ セッ トが濃縮された画分を得た。
実施例 2 (樹状細胞移植による内在性神経幹細胞 Z前駆細胞の増殖誘導) 生後 6週齢の B A L BZcあるいは C 5 7 B L/6マウスを用い、 ェ —テル麻酔下に第 8胸椎椎弓切除を行い、 尖刀にて脊髄を左半切した脊 髄損傷モデルマウスを作製した。 損傷後直ちに R PM 1 1 640培地の み、 又は免疫磁気ビーズ法にて C D 1 1 c ( + ) のサブセッ トをソート することによって得られた樹状細胞 [ 1 X 1 05個 Zマウス] を脊髄損 傷部位に移植した。
樹状細胞移植による内在性神経幹細胞 Z前駆細胞の反応性を検討する ため、 それらを認識する Mu s a s h i - 1抗体を用いて、 免疫組織染 色を行い、 陽性細胞数の経時的な変化を調べた。 まず、 損傷後 2、 4、 7 日の樹状細胞移植マウスについて、 2 %パラフオルムアルデヒドで経 心臓的灌流固定を行い、 凍結切片を作製した (各群 n = 3)。 次に、 一次 抗体として抗マウス Mu s a s i - 1抗体を利用した免疫組織染色を 行った。 Mu s a s h i — 1は 1 9 9 4年に Okanoらにより同定された 分子量約 3 8 k D aの R N A結合タンパクであり (Neuron, 1994)、 マ ウスの Mu s a s h i - 1に対するモノク口一ナル抗体を用いた解析で は神経幹細胞 Z前駆細胞に強く発現することが報告されている (Dev.
Biol.1996、 J. Neurosci.1997、 Dev. Ne rosci.2000)。 計測領域に関し ては、 細胞を移植する際に用いた g e 1 f o am (変性コラーゲン) の 最も遠位部、 及びそこから l mm離れた地点それぞれで、 背側から腹側 に至る部分として、 損傷辺縁部、 遠位部 (頭側 ·尾側) の 2つに分類し た (図 1参照)。
損傷辺縁部から頭側にかけての代表的切片の染色像を図 2に示す。 両 群ともに、 損傷後 2日では差はみられないが、 損傷後 4日以降では、 樹 状細胞移植群において、 辺縁部、 遠位部ともに Mu s a s h i - 1陽性 細胞が多く認められた。 また、 コントロール群ではこのような変化は乏 しかった。
次に Mu s a s h i — 1陽性細胞を画像解析装置 (Flovel社) を用い て定量的に解析した。 図 3に Mu s a s h i — 1陽性細胞数の領域別の 経時的変化を示す。 損傷後 4日以降で損傷辺縁部や遠位部ともに、 コン トロールと比較して樹状細胞移植により有意な Mu s a s h i - 1陽性 細胞数の増加を認めた。 特に損傷辺縁部では、 損傷後 2 日から 4日の間 に樹状細胞移植群で Mu s a s h i - 1陽性細胞の著しい増加が認めら れた。
以上のことより、 損傷部位への樹状細胞移植により、 内在性神経幹細 胞 /前駆細胞の増殖が誘導されることが明らかとなった。
実施例 3 (樹状細胞移植による神経細胞の解析)
樹状細胞移植により内在性の神経幹細胞 Z前駆細胞が有意に増殖して いることが明らかとなったが、 損傷後 1 4日目になると 7 日目と比較し て、 神経幹細胞 Z前駆細胞が減少し、 形態変化が観察された。 そこで、 神経幹細胞が神経細胞へ分化したのではないかと考え、 樹状細胞移植に よる神経細胞新生の可能性を検討した。 C 5 7 B LZ6成熟マウスの脊 髄を損傷させ、 樹状細胞を移植後 7日、 1 4日目に 4 %パラフオルムァ
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ルデヒドで経心臓的灌流固定を行い、 矢状断凍結切片を作製した (n = 3)。 コントロールとして、 R PM I 1 640移植群を用いた (n = 3 )。 分裂増殖細胞を標識する ため、 チミ ジ ンのアナ ロ グであ る bromodeoxyuridine (B r d U、 Sigma社) を損傷後、 灌流固定前日ま で毎日腹腔内投与した ( 5 O mgZk g)。一次抗体として抗ラッ ト B r d U抗体(Abeam社)、有糸分裂後のニューロンを認識する H u抗体(Dr James岡野から供与) を利用した免疫染色を行った。 染色結果は共焦点 レーザー顕微鏡 (Zeiss 社) を用いて確認した。 計測領域に関しては、 細胞を移植する際に用いた gelfoam (変性コラーゲン) の最も遠位部か ら 0. 5 mm離れた地点から 1 mm離れた地点までの切片上でのすべて の灰白質部分として、 頭側 · 尾側の両方で行った。 樹状細胞移植群の損 傷後 1 4日目の代表的切片の染色像を図 4 Aに示し、 さらに図 4A中の 拡大像を図 4 B、 図 4 Cに示す。 計測結果を図 4 Dに示す。 その結果、 損傷後 1 4日目の榭状細胞移植群でのみニューロンが新生していること (矢印) が明らかとなった。 さらに、 アポトーシスに陥っている細胞で も B r d U陽性となることが知られているため、 アポト一シス細胞を特 異的に検出できる TUNE L法を用いた免疫染色を重ねた結果を図 4 E に示す。 その結果、 H uZB r d U二重陽性細胞は TUNE L染色が陰 性であったこと、 またアポトーシス細胞の核に特徴的な断片化像も否定 的であったことから、 損傷脊髄に榭状細胞を移植することにより、 新し いニューロンが分化誘導されていることが明らかとなった。 中枢神経系 の中でも脊髄は神経新生が起こらないと考えられてきた組織であった。 しかしながら、 本発明によって、 成熟哺乳動物の脊髄において、 樹状細 胞移植により神経が新生されることを証明することができた。
実施例 4 (樹状細胞移植による損傷神経軸索の再生)
切断した神経軸索に対する樹状細胞移植の効果を調べるため、 損傷後
4ヶ月経過した BAL B/cマウスを用いて、 大脳皮質一次運動野に順 行性トレーサーである B D A (biotinylated dextra amine, 分子量 1 0 0 0 0、 Molecular Probes社) を注入し、 皮質脊髄路の再生について 検討した。 トレーサーを注入後 1 4日の樹状細胞移植マウスについて、 4 %パラフオルムアルデヒドで経心臓的灌流固定を行い、 冠状断凍結切 片を作製した (n = 1 0)。 コント口一ルとして、 R PM I 1 6 4 0移植 群を用いた (n = 7)。 両群とも、 皮質脊髄路における B D A陽性の神経 軸索は、 細胞移植の際に用いた g e 1 f o amよりも頭側の位置で途絶 しており、 損傷部より尾側の領域では認めることができなかった (図 5 A)。 中心管 (*印) の周辺においては、 コントロール群はやはり B D A 陽性の神経軸索 (0. 5 mm以上連続性を有するもの) を損傷部より尾 側の領域では認めることがなかったが(図 5 B)、樹状細胞移植群では、 損傷部より尾側において、 皮質脊髄路ではない灰白質の領域に B D A陽 性の神経軸索を認めた(図 5 C、 n = 5 )。その部分の拡大像を図 5 D (矢 印)、 さらに図 5 Eに示す。 この結果は、 過去に報告されている神経軸索 の再生例 (Exp. Neurol.1990, Science 1996, J.Neurosci.2000) と類似 した形態 (矢印、 矢頭) を有していた。 以上より、 樹状細胞移植により 損傷神経軸索を再生させることが明らかとなった。
実施例 5 (樹状細胞との共培養によるィンビトロでの神経幹細胞の増殖 誘導)
損傷部位への樹状細胞移植により、 内在性神経幹細胞 Z前駆細胞の増 殖を誘導することが明らかとなったが、 培養下でも樹状細胞が神経幹細 胞を増殖させることが可能であるかを解析した。 神経幹細胞の増殖誘導 は、 神経幹細胞の分離培養を 2段階で行った。 まず第一段階は C 5 7 B LZ 6胎仔 (妊娠 1 4日目) の被殻一線条体部位を採取し、 1 X 1 0 5 細胞/ m 1 の細胞密度で、 D M E M/ F 1 2培地に E G F (peprotech
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社) S O n gZm l , F GF— 2 (R&D社) 2 0 n g/m l、 トラン スフエリン (Sigma社) 1 0 0 g/m 1、 インシュリン (Sigma社) 2 5 g / m 1 , Progesterone (Sigmaネェ) 2 0 n M、 Sodium selenate (Sigma社) 3 0 nM、 Putrescine (Sigma社) 6 0 を添加した培 養液で 5〜 7 日間培養することで、 選択的に神経幹細胞を培養した。 さらに得られた神経幹細胞の純度を高めるため、 セルソー夕一を用い TP I染色陰性でかつ直径 1 0 以上の細胞を分離した後、 1 0 0細 胞 /wellになるようにプレ一ティングして、 樹状細胞との共培養を開始 した。 セルソー夕一はべクトンディッキンソン社 FACS Vantege SEを、 解析には Clone cyte plusを用いた。 神経幹細胞との共培養に用いる樹 状細胞は、 C 5 7 B L/ 6雌成熟マウス脾臓より C D 1 1 c陽性のサブ セッ トを分離して 1 X 1 03〜 1 05細胞/ m l の細胞密度になるよう に前記培養液中に調整し、 9 6well低接着培養プレートに 1 0 0 ^ 1ず つ加えた。 コント口一ルとして、 細胞を加えない群 (基本的なニューロ スフエアを培養する条件) と、 樹状細胞の分泌する最も重要な神経栄養 因子である NT— 3 ( 1〜: I 0 n g/m 1 ) を添加する群を加え、 神経 幹細胞の培養を行った。
増殖した神経幹細胞は、 直径 5 0 m以上のニューロスフェア (neurosphere) と呼ばれる細胞凝集塊を形成するため、 共培養開始後 8 日後に、 それぞれの条件におけるニューロスフェアの数 (図 6) 及びそ の体積 (図 7) を測定 .検討したところ、 一般的なニューロスフェアを 培養する条件と比較して、 樹状細胞 (D C) と共培養することにより、 顕著に神経幹細胞を増殖させることが明らかとなつた。
次に、 コントロールとして脾細胞、 T細胞、 マクロファ一ジを用いて、 樹状細胞による神経幹細胞の反応性について検討した。 これらの各細胞 1 05個 ( 1 06個 Zm l ) を、 primary ニューロスフィァを形成した神
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経幹細胞 1 0 0個と 7 日間共培養したところ、 樹状細胞と共培養した場 合、 secondary ニューロスフィァ (直径 1 0 0 /m以上) 形成数は一般 的ニューロスフィァの培養液のみと比較して著しく増加した (図 8 )。一 方、 T細胞、 マクロファージと共培養した場合では直径 1 0 0 μπι以上 の secondary ニューロスフィァの形成が認められなかったことから、 樹 状細胞は他の免疫系細胞と比較して、 インビトロで共培養することによ り神経幹細胞を顕著に増殖させることが明らかとなった。
実施例 6 (榭状細胞の培養上清を用いたインビトロでの神経幹細胞の増 殖誘導)
さらに樹状細胞の分泌する物質が神経幹細胞の増殖誘導に働くかどう かの検討を行った。 本実験では、 樹状細胞のみならず、 血球系細胞であ る脾細胞、 T細胞の培養上清を用いてニューロスフェアの数及び体積の 解析を行った。 実施例 4と同様の方法で神経幹細胞の分離を行った。 す なわち、 C 5 7 B LZ 6胎仔 (妊娠 1 4日目) の被殻一線条体部位を採 取し、 1 X 1 05細胞/ m 1 の細胞密度で、 DMEM/F 1 2培地に E G F (peprotech 社) 2 0 n g/m l、 F GF - 2 (R &D社) 2 0 n g /m 1 、 トランスフェリン (Sigma社) 1 0 0 g / し インシユリ ン (Sigma社) 2 5 g / 1、 Progesterone (Sigmaネエ 2 0 nM、 Sodium selenate (Sigma社) 3 0 nM、 Putrescine (Sigma ¾) 6 0 Mを添加した培養液で、 5〜 7 日間培養することで、 選択的に神経幹 細胞を培養した。 さらに得られた神経幹細胞の純度を高めるため、 セル ソ—夕一を用いて、 p i染色陰性でかつ直径 1 0 m以上の細胞を分離 した後、 1 0 0細胞/ m 1 になるようにプレーティングした。
C 5 7 B L/ 6雌成熟マウス脾臓より、 脾細胞を調製し、 C D 1 1 c 陽性のサブセッ トを樹状細胞として、 CD 8陽性のサブセットを CD 8 T細胞として分離し、 前記培養液中で、 2 4時間培養後、 その培養上清
を回収した。 コントロールとして、 細胞を加えない群 (基本的なニュー 口スフエアを培養する条件) を加え、 神経幹細胞の培養を行った。 増殖 した神経幹細胞は、 直径 5 0 以上のニ ュ ー ロ ス フ ェ ア
(neurosphere) と呼ばれる細胞凝集塊を形成するため、 共培養開始 8 曰後に、 それぞれの条件におけるニューロスフェアの数 (図 9) 及びそ の体積 (図 1 0) を測定 '検討したところ、 一般的なニューロスフェア を培養する条件と比較して、 樹状細胞 (D C) のみならず、 脾細胞 (S P C), CD 8陽性 T細胞 (C D 8— Τ) の培養上清により、 神経幹細胞 を増殖させることが明らかとなった。
次に、 樹状細胞の分泌する培養上清中の物質が神経幹細胞を増殖させ ることを再確認するため、 1 05個の樹状細胞の培養上清 ( 1 06個/ m 1、 4 8、 7 2、 9 6時間) を用いて、 primary ニューロスフィァを形 成した神経幹細胞 1 0 0個を 7日間培養したところ、 1 05個の樹状細 胞との共培養の場合の約 1 1 0であったものの、 secondary ニューロ スフィァ (直径 5 0; m以上) の形成を認めた (図 1 1 )。 培養液のみの 場合では secondary ニューロスフィァ (直径 5 0 im以上) の形成が全 く認められなかったことから、 神経幹細胞を増殖させる樹状細胞の分泌 因子の存在が確認された。
実施例 7 (GM- C S F投与による内在性神経幹細胞 Z前駆細胞の増殖 樹状細胞の誘導 ·増殖に重要なサイ トカインである GM— C S Fを投 与することによる中枢神経系内の神経幹細胞/前駆細胞に対する反応性 を解析するため、 それらを認識する Mu s a s h i - 1抗体を用いて、 免疫組織染色を行い、 陽性細胞数の経時的な変化を調べた。 生後 6週齢 の BAL B/c雌マウスを用いて、 脊髄損傷モデルマウスを作製し、 損 傷直後に、 生理食塩水のみ又は GM— C S F ( 2 5 0 p g Zマウス ;
P T/JP03/03868
Genzyme社) を 5 1脊髄損傷部位に投与した (各群 n= 3)。 損傷後 2、 4、 7 日目に 2 %パラフオルムアルデヒドで経心臓的管灌流固定を 行い、 凍結切片を作製した。 次に、 一次抗体として抗 Mu s a s h i - 1抗体を利用した免疫組織染色を行った。 計測領域に関しては、 細胞を 移植する際に用いた g e 1 f o amの最も遠位部から背側および腹側 0 - 5 mm離れた領域を画像解析装置 (Flovel社) を用いて定量的に解析し た (図 1 2 )。 図 1 3に Mu s a s h i — 1陽性細胞数の経時的変化を示 す。 GM— C S F投与群では損傷後 2日目からコントロールと比較して 多数の Mu s a s h i - 1陽性細胞を認め、 7日目において有意な細胞 数の増加を認めた。 以上のことから、 損傷部位への GM— C S F投与に より、 神経組織内における内在性神経幹細胞/前駆細胞が増殖誘導され ることが明らかとなった。
損傷部位局所に GM— C S Fを投与することにより、 内在性神経幹細 胞/前駆細胞が増加することを明らかにしたが、 さらに神経幹細胞 Z前 駆細胞のマーカーである Mu s a s h i - 1抗体に加えてダリァ細胞マ —カー (GFAP抗体) を用いた解析、 増殖細胞であることを証明する ために、 B r d U標識による解析を行った。 生後 6週齢のマウスを用い て脊髄損傷モデルを作製し、 損傷直後に生理食塩水のみまたは GM— C S F ( 2 5 0 p g/マウス ; G e n z yme社) を 損傷部位に投 与した。 分裂増殖細胞を標識するため、 チミジンのアナログである B r d U (Sigma 社) を損傷後、 損傷後 7 日目に灌流固定する前日まで毎日 腹腔内投与した ( 5 0mgZk gm)。 凍結切片を作製し、 一次抗体とし て抗 M u s a s h i - 1抗体、 抗ラッ ト B r d U抗体(Ab e am社)、 抗マウス GFAP抗体 (Sigma 社) を利用した免疫組織学的解析を行つ た。 損傷後、 増殖している内在性神経幹細胞 Z前駆細胞を Mu s a s h i - 1 (+ ) B r dU ( + ) GFAP (一) として計測した。 損傷後 7
日目の代表的切片の染色像を図 1 4 aに示し、 さらに図 1 4 b中ではそ れぞれの抗体による解析像を示す。 定量的計測結果を図 1 4 cに示した が、 損傷後 7日では、 GM— C S F投与により内在性神経幹細胞 Z前駆 細胞が有意に増殖していたことが確認された。
実施例 8 (損傷部位への GM— C S F投与による脊髄内榭状細胞の誘導) 生後 6週齢のマウスを用いて脊髄損傷モデルを作製し、 損傷直後に生 理食塩水のみまたは GM_ C S F ( 2 5 0 p g /マウス ; Genzyme 社) を 5 1損傷部位に投与した。 損傷後 7 日目において、 マウスを灌流固 定して、 凍結切片を作製し、 免疫組織学的解析を行った。 钪 CD 1 1 c 抗体 (Pharmingen社) を用いて脊髄内の樹状細胞を解析したところ、 正 常マウス脊髄には明らかな CD 1 1 c陽性の樹状細胞は検出されなかつ たが(図 1 5 c)、損傷脊髄には CD 1 1 c陽性の樹状細胞が認められ(図 1 5 b), 損傷部位への GM— C S F投与により、 さらに榭状細胞の数が 増加していた (図 1 5 a)。 外傷部位より頭尾側それぞれ 0. 7 5— 1 · 2 5 mmの範囲で定量的な解析を行ったところ、 GM— C S F投与によ り有意に CD 1 1 c陽性の樹状細胞数が増加していた (GM— C S F, n= 6 ; コント口一ル, n= 6 ;正常脊髄マウス, n= 2) (図 1 5 d)。 損傷神経に移植された樹状細胞は神経幹細胞を増殖誘導し、 神経細胞の 新生、 神経軸索の再生など様々な神経保護、 再生効果をもたらす。 これ まで、 正常中枢神経系には樹状細胞は存在しないと考えられてきたが、 損傷により樹状細胞が中枢神経系にも誘導されること、 また GM— C S F投与によりさらに多くの榭状細胞が誘導されることが明らかとなった。 実施例 9 (GM— C S F投与による神経細胞の解析)
損傷脊髄において樹状細胞を移植することにより、 新しいニューロン が分化誘導されることが明らかとなったことから、 GM— C S F投与に よる神経細胞の解析を行った。 マウスに脊髄損傷を作製し、 GM— C S
F投与後 1 4日目に灌流固定を行い、 矢状断凍結切片を作製した (n = 3)。 コントロールとして、 生理食塩水投与群を用いた (n= 3)。 分裂 増殖細胞を標識するため、 チミジンのアナログである B r d U (Sigma 社) を損傷後、 灌流固定前日まで毎日腹腔内投与した ( 5 0 mg/k g マウス)。 一次抗体として抗ラッ ト B r d U抗体 (Abeam 社)、 有糸分裂 後のニューロンを認識する H u抗体 (Dr James岡野から供与) を利用し た免疫染色を行った。 染色結果は共焦点レ一ザ一顕微鏡 (Zeiss 社) を 用いて確認した。 計測領域に関しては、 細胞を移植する際に用いた g e 1 f o am (変性コラ一ゲン) の最も遠位部から 0. 2 5 mm離れた地 点から 0. 7 5 mm離れた地点までの切片上でのすべての灰白質部分と して、 頭側 '尾側の両方で行った。 GM— C S F投与群の損傷後 1 4日 目の代表的切片の染色像を図 1 6 aに示し、 定量的計測結果を図 1 6 b に示した。 その結果、 損傷後 1 4日目の GM— C S F群でのみニュ一口 ンが新生していることが明らかとなった。 中枢神経系の中でも脊髄は神 経新生が起こらないと考えられてきた組織である。 しかしながら、 本発 明によって、 GM— C S F投与により成熟哺乳動物の脊髄において神経 が新生されることを証明することができた。
実施例 1 0 (GM— C S F投与後の脳梗塞に対する治療効果)
次に、 GM— C S F投与における脊髄損傷以外の神経疾患に対する治 療効果を調べた。 ラッ ト脳梗塞モデルを作製し、 GM— C S Fを血管内 から投与後の脳梗塞巣、 神経学的所見、 脳梗塞境界領域 (penumbra) に おけるアポトーシス、 および活性化マイクログリアの解析を行った。 脳 梗塞モデルの作成は、 小泉 · Zea Longa らの方法による一過性中大脳動 脈閉塞(MC AO)モデルを用いた。具体的には以下の通りである。 Wister Ratォスを用いて、麻酔は笑気'酸素混合ガス(笑気 7 0 % ·酸素 3 0 %) と 4 %ハロタンで導入し、 その後はハロタンを 2 %へ下げて維持し、 自
PC謂細 68 発呼吸下で手術を施行した。 頸部正中切開を行い、 右総類動脈、 外顏動 脈、 内頸動脈、 pterygopalatine A.を露出し、 内穎動脈、 総類動脈を mini clipにてクランプ、 pterygopalatine A.を結紮した後、 外頸動脈を遠位 端で切離翻転した。外頸動脈より 4一 0ナイロン糸にラバー(SURFLEXF; GC corporation, 東京) をコ一ティングした塞栓子を約 1 7 mm挿入し、 中大脳動脈起始部で血流を遮断した。 1時間の虚血負荷後、 塞栓子を拔 去し、外顏動脈よりポリエチレンチューブ(P E 1 0; INTRAMEDIC社 外 径 0. 6 1 mm、 内径 0. 2 8 mm) を揷入し内顏動脈まで進め、 GM — C S F 5 n g/生理食塩水 0. 3 m 1 あるいは生理食塩水 0. 3m l を注入した。 チューブ抜去後内頸動脈、 総類動脈を開放し再灌流させ、 閉創し手術を終了した。 脳梗塞体積の評価は、 再灌流 48時間後にラッ トを屠殺し、 生理食塩水にて灌流後、 脳切片 (厚さ 2 mmで 5スライス) を作成し、 2 %— 2, 3, 5- Tripheny卜 Te azol ium-Chloride (T T C , SIGMA 社) 生理食塩水 にて染色を行っ た ( Stroke 1986 Nov- Dec;17(6) :1304-8 Bederson JB, Pitts LH, Germano SM, Nis imura MC, Davis RDo 正常部分は赤く染色されるが、 梗塞巣は染まらないため、 白 い部分として観察される。 各切片の T T C染色像をスキャナーで取り込 み、 梗塞面積を算出し、 梗塞面積 X 2mmで梗塞体積とし、 さらに 5ス ライスの梗塞体積の総和を総脳梗塞体積として解析を行った。 神経学的 所見は、 Menziesのスケールを用いて解析を行った (Neurosurgery 1992 Jul ;31 (1) :100-6; discussion 106-7; Menzies SA, Hof f JT, Betz AL)。 Menziesの神経所見スコアは以下の表 1のとおりである。
(表 1 )
図 1 7に脳梗塞 (MCAO) 48時間後の代表的な TT C染色像を示 したが、 GM— C S Fを脳梗塞直後に血管内投与したところ、 明らかな 脳梗塞巣の減少が観察された。 定量的な解析結果を図 1 8、 1 9に示し たが、 GM— C S F投与により、 総脳梗塞体積のみならず、 大脳皮質 (cortex)における脳梗塞体積が明らかに減少していた。 図 2 0に脳梗塞 直後と 48時間後における GM— C S F投与およびコントロール群の神 経学的所見を示した。 脳梗塞直後では両群間に明らかな差が認められな かったが、 4 8時間後では、 GM— C S F投与により、 脳梗塞後の神経 所見が有意に改善されることが明らかとなった。
脳梗塞巣が減少したことが、 どのような機序によるのかを明らかにす るため、 脳梗塞境界領域(penumbra) (図 1 7に M C A O後の脳梗塞境界 領域を示した) における細胞死 (アポト一シス) の解析を行った。 脳梗 塞 (MCAO) 48時間後に脳切片を作製し、 TUNE L染色 (Apotag kit; Intergen 社) によりアポト一シスを解析した。 代表的な T U N E L染色像を図 2 1に示したが、 GM— C S F投与により、 脳梗塞境界領 域における細胞死の抑制が観察された。 脳梗塞境界領域における細胞死 の定量的な解析を行ったところ、 GM— C S F投与により、 明らかに細
0303868 胞死が減少することが明らかとなった(GM_ C S F群, n=7; 20.3 土 6.0, 生理食塩水群, n=9; 73.2±19.1/0.06 匪2: pく 0.05; unpaired t- tes t) 0
また、 インビトロで G M— C S Fはミクログリアを活性化することや、 活性化マイクロダリァは様々な神経栄養因子を分泌することが知られて いることから、 GM— C S Fの血管内投与による脳梗塞境界領域におけ る活性化マイクログリアの解析を行った。 脳梗塞 (MCAO) 4 8時間 後に脳切片を作製し、 OX 4 2抗体 (Serotec 社) を用いてマイクログ リアの解析を行った。 代表的な OX 4 2染色像を図 2 2に示したが、 G M— C S F投与により、 活性化マイクログリアの数が増加していること が明らかとなった。 脳梗塞境界領域における細胞数の定量的な解析を行 つたところ、 GM— C S F投与により、 活性化マイクログリア細胞数が 増加する傾向が観察された(GM— C S F群, n=8; 59.5±16.5, 生理食 塩水群, n=9; 28.8±5.1/0.24 mm2: p=0.08; unpaired t test)。
以上の結果より、 GM— C S Fを投与することより、 脳内マイクログ リアが活性化され、 分泌された神経栄養因子などの作用により細胞死が 抑制されたのではないかと考えられた。 産業上の利用可能性
本発明によると、 神経損傷又は神経機能不全疾患の移植治療等に最も 重要である神経幹細胞をインビトロ、 インビポで効率良く増殖誘導する ことができる。